『ペルソナ設定、ペルソナマーケティング』を始めようと思っているけど何から手を付ければいいのか分からない…。
Web集客を強化するために具体的なペルソナの活用方法を知りたい…。
でもペルソナ設定について作り方も基礎的な知識もないし、カスタマージャーニーと同じじゃないの?
ペルソナ設定について、ふわっとした表面的な情報しか知らないからしっかり学びたい!ペルソナマーケティングを任せられて困っているというようなWebマーケティング初心者向けにこの記事では、SEO対策相談所の大森がペルソナの基本的な役割、作成手順からメリット・デメリットまで、ペルソナについての様々な情報をお伝えします。この記事さえ見れば、ペルソナを自社のWebマーケティングに役立てることが可能となるでしょう。
目次
この記事で分かる事!!
- 1・ペルソナの全体像→WEBマーケティングを行う際によく聞くペルソナとは何なのか?何のための手法なのか?行う事で何があるのか?など、ペルソナについての情報を網羅した基本的な全体像をお伝えします!
- 2・ペルソナ設定をどういう手順でするか→正しくペルソナ設定を行うための手順、作成方法、そこに合わせた注意点などを理解することで、最大限の魅力を発揮するWEBマーケティングが可能となるでしょう!
- 3・ペルソナの具体的な事例→実際の企業で行っているペルソナの元となる情報や、ターゲットユーザーから導き出される細かな設定を施した実際のペルソナ例をご紹介致します!
ペルソナとは?
ペルソナ(persona)は、自社のビジネス(商品、サービスなど)にとって理想的な顧客を指します。これらは、次のような複数の多岐にわたる属性のいずれかを組み合わせて定義されます。
- 年齢、性別
- 買い物の習慣
- 自社との関係性
- 仕事、収入
- 製品への関心
- 製品の必要性
WEBマーケティングの世界では、このペルソナ設定をさらに発展させ、その人物が本当に存在しているかのように、名前、年齢、趣味や普段の生活スタイルなどリアリティのある細かな設定を行い、具体的な想像が出来るように作り上げていきます。ただしWEBマーケティングで行うペルソナ設定は、あくまでもマーケティング戦略や、実行する戦略の意思決定、優先順位決めなどといった戦略、意思決定を促進しチーム全体の共通認識を持つためといった面が非常に強くなっております。
ペルソナ分析とは?
ペルソナ分析とは、商品・サービスなどをアピールする際に、重要なターゲットユーザー像を作るマーケティング手法になります。ペルソナ設定した顧客というのは、理想の顧客とは違います。既存の顧客の情報や、一般の方へのインタビューやアンケート、調査のデータなどから架空のユーザーを作り上げます。このペルソナ分析は、あらゆるマーケティングで活用できる注目の手法です。
商品の購入や資料請求などだけではなく、その後のアフターサービスなどにも展開できるでしょう。また、リアルで購入した顧客が予想を超えるような驚きを得ることによって、顧客生涯価値(LTV)を引き上げることになり、今まで以上に多くの優良顧客を獲得できるという流れも掴みやすくなっていくでしょう。正しくペルソナ設定を行う事で、具体的なユーザーのアクションやその後の反響までもしっかりと把握することが出来るようになります。
ペルソナ設定とターゲットの違い
WEBマーケティングでは、対象とする顧客像だけではなくキーワード選定を含めてターゲット設定を必ず行います。例えば記事コンテンツ制作を行う際には、この記事はどんなターゲットキーワードを狙ったものなのか、またターゲットユーザー層を明確にしてから記事作成に取り掛かります。
この作業について、ペルソナとよく混同されがちになりますが、実は全く異なるものになるんです。このペルソナを深く理解していない場合、「ターゲットを設定していればペルソナも同じものだから必要ない」と考えてしまいます。しかし、ターゲットとペルソナは大きく違うものになるので、どちらかが設定してあればどちらかが不必要なんてことはないんです。この違いをハッキリと理解しておくことが肝心です。
ターゲットとは?
商品やサービス、コンテンツ配信などで狙うユーザー像を設定するという部分は、ペルソナもターゲットも同じになります。しかしターゲットというのは、集団や実在する団体をセグメントしたものになります。つまり、狙うユーザーの全体をあらわすものということです。ペルソナとは、その団体の中の個人を設定します。ここがペルソナとターゲットの大きく異なる部分です。ターゲットは狙う全体の層を表し、ペルソナは「20代の婚活を頑張っている女性向け」「30代の車に興味がある男性向け」などと言うように、ある程度的を絞り込んだユーザー層という風になります。
ペルソナ設定とカスタマージャーニーとの違い
WEBマーケティングやWEB集客において、ペルソナと同じようにカスタマージャーニーというキーワードがよく出てきます。このカスタマージャーニーは、ペルソナと同じじゃないのか?と思われた方もいらっしゃると思います。ここではその違いと、どのようにWEBマーケティングで実行するのかを紹介します。実際のWEBマーケティング戦略では、どちらも必要でどちらも非常に重要ですので必ずチェックしておきましょう。
ペルソナとカスタマージャーニーには非常に深い関係性があるという事を理解しておきましょう。まずペルソナが 「 自社の商品やサービスとどのような接点を持ち、利用するかの把握」になります。それに対して、カスタマージャーニーは、ユーザーが商品を購入、もしくはサービスの利用などを始める時、そこに至るまでのプロセスを言います。
興味を持った入り口はどこなのか?口コミなどは見たのか?SNSなどを利用して情報を集めたのか?他社との比較などをしたのか?などなど、商品・サービスと接点を持ち、結果として購入や利用までたどり着くためのこうした行動を可視化したものが、カスタマージャーニーマップとなります。ペルソナとは、「自社が生み出した理想の顧客像」カスタマージャーニーとは「その顧客の行動」という事になります。
カスタマージャーニーにはペルソナが必要
ペルソナとは顧客の人物像であり、カスタマージャーニーはその人物の行動をあらわすものです。一見すると、ペルソナが出来ていれば行動まで把握する必要がないのではないか、行動が分かっていれば特定のペルソナ設定はしなくてもいいのではないかと思いますよね。
しかし、それは大きな間違いです。まず、正しく正確なペルソナ設定が出来ていなければ、行動を把握することはできません。ペルソナは、人物の詳細な部分まで設定を行います。ターゲットでは年代や興味のある部分までの大まかな絞り込みしか行いませんが、ペルソナは違います。
一人の人間として、今年齢がいくつでどんな仕事をしているか、どんなものに興味があり普段はどんな生活をしているか、休みの日は何しているかなど、現実に存在しているかのようなリアリティのある設定を行います。このペルソナがあるからこそ、カスタマージャーニーマップが正確に作れるようになるんです。どちらかが雑になってしまったり、情報が足らず曖昧な設定になってしまえば、マーケティングの計画段階で崩れてしまうという事も大いにあり得ます。この2つは切っても切れない関係性で密な繋がりがあります。個々に点として捉えるのではなく、ペルソナで作り上げた人物像を線にして結びつけることが肝心です。
カスタマージャーニーとターゲットユーザー
ペルソナとカスタマージャーニーの深い関係性が理解できたところで、ペルソナと混同されがちなターゲットユーザーについての関係も見ていきましょう。先ほどお話ししたように、ターゲットユーザーとは、ペルソナを作るうえでまず絞り込む顧客の属性です。このターゲットの中から一人の顧客をペルソナとして設定します。そのため、ターゲット層がしっかりと定まっていなければペルソナ作成は出来ません。そうすると、同時にカスタマージャーニーの把握も難しくなるでしょう。
このターゲットユーザーは、何をするにも大切な土台の部分になります。ターゲットユーザーを決めてそこからペルソナを作る。そのペルソナをもとにカスタマージャーニーマップを作る。この流れが出来て初めてWEBマーケティングの効果的な戦略を立てることが出来るようになります。
ペルソナとターゲットユーザーは確かに全く異なるものではありますが、カスタマージャーニー同様に深いつながりのある項目になります。このうちのどれか1つでも疎かになってしまえば正しい活用は出来ません。それぞれの意味や役割をよく理解し、成果を出しやすくするためのマーケティングに活かしていきましょう。
ペルソナ設定とターゲットユーザーの具体例
ペルソナとターゲットユーザーの具体的な違いを見てみましょう。分かりやすく言えば、ターゲットは「10代の学生でメイクに興味がある層」となり、ペルソナは「その10代の学生のメイクに興味がある層の中の特定の個人」という風になります。このように、ターゲットは大きな括り、ペルソナはその中の一人という事をまずはしっかりと把握しておくことが大切です。このターゲットとペルソナを混同してしまうと、マーケティングなどで上手く活用することが出来ず狙いがあやふやになってしまうでしょう。
具体例1
- ターゲット→40代・男性・会社経営者
- ペルソナ→近藤正雄・47歳・AB食品株式会社・既婚・子供2人(16歳と13歳の姉妹)と妻の4人家族・ゴルフとお酒が趣味・週末は必ず家族サービスをする・食品加工会社の30代のころに設立し経営は今のところ順調。今後はさらなる展開を目指している・最近娘に教えてもらいfacebookで会社の宣伝を行っている・スマホを持っているが使い慣れておらずあまり活用できていない
具体例2
- ターゲット→30代・女性・主婦
- ペルソナ→白川仁美・33歳・専業主婦・都内の賃貸マンション暮らし・夫と娘(5歳)と息子(1歳)の4人家族・料理が趣味・料理教室に通っている・InstagramやTwitterで料理系の投稿を常にチェック・3年前に離乳食レシピのブログを開設・友人とのやり取りは主にLINE・週に1度は仲の良いママ友同士でカフェでランチ・月に一度は家族で外食・実家は地方
このように、ターゲットとペルソナの設定はまったく異なることが分かります。ターゲットというのは、人物像に幅を持たせて設定するのに対して、終える祖名はより細かく具体的に、特定の人物像をリアルに想像し作り上げていきます。この2つは同じなようで全く異なる設定であるという事を、しっかりと頭に入れておきましょう。
ペルソナマーケティングとは?
ペルソナ設定を行い、その人物のニーズを満たすための商品の開発、記事・コンテンツ戦略を組み立てる手法をペルソナマーケティングと言います。ペルソナは、架空の人物像を設定して顧客プロファイルで商品やサービスの理想の顧客をあらわします。今までのマーケティング用語として20~34歳の女性の層を「F1層」、20~34歳の男性を「M1層」とあらわしていました。例えば、「トレンドに敏感でブランド意識が高く消費傾向が強いから、新商品の販売はまずはF1層に対して行う」という定説がありました。
しかし、2000年代以降には生活スタイルや思考の多様性が広がり、年齢・性別のみでの市場の消費傾向は把握が難しくなってきました。そこで、多くの企業が自社商品やサービスのマーケティングに、このペルソナを活用するようになり、商品・サービスに合わせた最適な趣味嗜好を分析することが一般化してきました。このように、架空の顧客増を設定し、その顧客へ向けたアプローチで企画の立案やプロモーション計画などを行う手法を「ペルソナマーケティング」と言います。
この話で分かるように、ペルソナマーケティングが一般化してきたのは2000年代以降になるので、他施策と比べても比較的新しいマーケティングの手法と言えるでしょう。そのため、今の段階でこのペルソナについてしっかりと理解を深め、マーケティング業務に正しく活用できるようにすることで、他との差別化を図った最適な顧客向けのプロモーションを作り上げることが出来ます。今後、このペルソナマーケティングを活用する企業は増えてくるでしょう。同施策を行う企業が増える前に、早い段階で使いこなせるようにしておくことが肝心です。
ペルソナ設定の作り方・手順とは?
「ペルソナが大切なのはわかったけど、どうやって作ればいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。このペルソナは、非常に注目されており、ネットで調べると多くの情報が出てきます。また、このペルソナについての本なども多数出版されているため、まずはこうした情報を参考にしてみるのもいいでしょう。しかし、情報が多すぎて結局やり方が分からない…と感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ペルソナの作成手順の基本をご紹介致します。自社の商品・サービスなどにより細かな部分が異なるという場合もあるでしょう。しかしペルソナ設定のやり方さえ覚えてしまえば、何度でも行うことが出来るようになります。基本の作成を知らないままでは、ペルソナ設定をするたびにマッチするサンプルや設定の参考とする項目例などを見つけださなければいけません。毎回かなり時間もかかり手間となるので、作成の基本を知ることが大切です。
ペルソナ設定 作成の手順
ペルソナの基本作成の手順をご紹介します。これを土台にして作成をすることで、ブレずに正確なペルソナ作成が可能となるでしょう。慣れや精度を上げるためには、まずは数をこなしコツを掴むことが肝心です。そのためにも、基本をしっかりと覚え自分のスキルとして活かせるようにしておきましょう。
1・ターゲット層を決め情報収集
まずは大まかにターゲット層を決め、適切な情報を収集していきましょう。既存の顧客情報だけではなく、インタビューを行ったりアンケートを実施したり、より多くのデータを求めるといいでしょう。ペルソナは、個人的に偏った設定では意味がありません。そのため、ユーザーから直接ヒアリングなどを行い詳細なペルソナを作成することが望ましいです。
また、ヒアリングの項目では、商品・サービスの利用前、利用中、利用後など、パターン別のペルソナ人物像が感じることを引き出すためにも有効です。行動だけに着目するのではなく、アクションを起こす動機から、ユーザー自身も気付いていない無意識レベルのニーズ・需要などもくみ取れるようにしておきましょう。
2・情報の整理・グルーピング
多くの情報を収集したら、次にその情報を整理し、グループ分けを行います。収集できた情報を付箋に書き出したりして、共通項目ごとに分けていきましょう。例えば、分かりやすい部分で言えば性別や年齢などがあります。さらに家族構成や職業、役職や年収など、共通している部分ごとにしっかりとグループ分けしていくと、分かりやすく情報の整理が出来、まとめやすくなります。
3・物語風に仕上げる
グループ分けし整理が出来た情報をもとに、物語風にペルソナを作成していきます。「物語なんてわからない!」と思われるかもしれませんが、要は作成したペルソナごとのシナリオを考えるという事です。ペルソナにニーズが発生し、情報収集から意思決定、商品・サービスの購入に至るまでの過程をシミュレーションし、物語として作り上げていきます。
ペルソナ設定情報 | 鈴木真由美・21歳・美大4年生・両親と都内に在住・一人っ子・カフェでアルバイト・月6~7万円の収入・プチプラが好き・美容系の情報に興味がありSNSの美容系の投稿や、好きなモデルのページなどをよく見ている |
物語のシナリオ | おしゃれが大好きな美大生。休日やバイトの休憩時間はよくInstagramで美容系の投稿を見ている。友人と食事している時に、夏になったらみんなで海に行こうという話をしていた。ひょんなことから脱毛の話になり、友人はサロンにいったり自宅脱毛器を使用しているという事を知った。何がどう違うのか、どんな方法がいいのか疑問に思ったため家に帰ってからネットで情報を検索。そこで脱毛に関する記事を見つけた。定期的に脱毛に関する様々な体験談を掲載しているため、このサイトを参考にしようと思った。 |
物語というと、難しく捉えがちですが、上記の例のようにペルソナの人物像がなぜそれに興味を持ったのか?なぜそう思ったのか?それを解消するためにどう行動を起こしたのか?など、アクションの内容やその動機を考え、一人の人間の行動として考えます。ここで重要なのが、不自然な流れにしないという事です。
自社の商品やサービスなどに無理やり関連付けるために、普通ならあり得ないようなユーザーの行動を作ることは正しいペルソナ設定ではありません。あくまでも自然に、誰でもこういったことはあり得るという一般的な内容の物語を作ることが大切です。
なぜWEB集客の現場にペルソナ設定が必要なのか?
Web集客になぜペルソナが必要なのか、考えたことはあるでしょうか?ペルソナの作り方が分からない、何から手を付ければいいか知らないと悩んでいる方の中にも、「ペルソナってそんなに大切なの?」「ペルソナがなくてもマーケティングは出来るし…」と思っている方もいるでしょう。しかし、今のマーケティングでこのペルソナは欠かすことのできない重要な項目になっているです。ペルソナ設定を行う事で、幅広い市場の中でピンポイントに絞り込んだマーケティングが可能になります。
たとえば、Webコンテンツ制作などの場合、情報を伝えたい特定の層に届けやすくなり、結果として効果的な集客につなげることが出来ます。ペルソナ設定を行う事で、マーケティング活動をする際に優先すべきコンテンツやメディアなどを絞り込むことが出来るため、こういった効率的なマーケティングが可能となります。ペルソナが魅力を感じるコンテンツを配信し続けることが出来れば、より多くの理想の顧客を取り込むことになります。ペルソナ設定をするという事は、将来的な優良な見込み客、優良顧客に変わる可能性が非常に高い潜在顧客にリーチしたり、リード獲得出来る可能性が高くなります。
ペルソナ設定のマーケティングはもう古い?
マーケティングの世界では古くから活用されているペルソナ。そのため、「ペルソナって昔のやり方だから古い」「今はもういらないでしょ?」と考えている方もいるでしょう。確かに、この考えもあながち間違いとは言えません。しかし、「ペルソナそのものが古いからいらない!」というのは大きな誤解です。ペルソナ設定を、古い時代のままの方法で行っているだけでは確かに効果は半減してしまうかもしれません。
昔と今では時代の背景もユーザーの思考や行動も大きく異なります。以前のペルソナ設定では、年齢や性別、趣味やライフスタイルなどから、架空の人物像を作り上げ、それをもとに様々な方向性を決めていきました。基本的には同じですが、現代のペルソナでは、設定した架空の人物像で終わるのではなく、実際に商品の購入やサービスを体験した、リアルなユーザーの情報などと組み合わせることが求められています。
架空の人物を作り、そのニーズに合わせた戦略を立てるという方針自体は変わりませんが、現代では架空の人物像と実在のユーザーを融合しながら強化していくことが必要です。「ペルソナは古いからもういらない」という事ではなく、「昔のペルソナ設定方法では甘い」という認識が正しいでしょう。時代の移り変わりとともに、こうした施策も常にレベルを上げて進化させていくことが大切です。
ペルソナ設定なしでやる危険性
ペルソナの重要性は理解できているけれど、顧客像を絞り込むことが不安と感じる方も少なくありません。仮に、もしもペルソナ設定を行わずにマーケティングを行った場合、どのような結果になるでしょうか?ペルソナ設定の最大の目的は、後程メリットの部分で詳しくお話ししますが、社内の認識を統一する事、マーケティングの方向性を正しく定められることになります。
ペルソナ設定を行うからこそマーケティングチーム内での共通認識、意識の共有が出来ますが、この設定がなければ、ターゲット層が曖昧になってしまい、ユーザーの行動把握や予想が出来ません。
そのため、ユーザーに向けた効果的な施策を提供することが難しくなってしまうでしょう。さらに、社内での認識のずれは大きなトラブルの原因にもなります。ターゲットとしている土台となる層に全く響かないものになってしまった、という失敗談も数多くあります。さらに、ペルソナ設定を行わずにマーケティングを遂行することで、マーケティングの基本部分にぶれが生じ、ユーザーに「結局何が言いたいの?」「何が魅力なの?」「何を伝えるためのものなの?」と思わせてしまうでしょう。
ペルソナを設定するという事は、そのたった一人に向けて効果的な施策を行っていくことです。そのため、強化すべき部分はどこか、この人物ならこういう時にどうするか、という予想が立てやすく、スムーズな展開が可能となるでしょう。ペルソナ設定で行った場合、余計な時間もかかり手間も増えます。リソースに限りのある企業であればなおさら、このペルソナ設定を活用し業務の効率化を図りましょう。
ペルソナの具体的な設定方法
ペルソナ設定の作成方法を理解したところで、次にさらにリアリティを出すための具体的な内容を見ていきましょう。例に挙げて詳しく解説していきます。自社の状況に合わせ、どんな風に情報を収集するのか、どうやって作り込んでいけばいいのかをより深く理解できるようにすることが大切です。知識を頭に入れて満足するだけでなく、事例を参考に自社のマーケティングにしっかりと活かしていきましょう。
基本的人物設定のために必要な要素
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 血液型
- 学歴
- 職業
- 肩書
- 年収
- 貯蓄
- 居住地
- 家族構成
- 趣味嗜好
- 活用しているSNS
- 日課
- 悩み
- 目標
- 週末の過ごし方など
個人的な詳細設定に必要な要素
- 日々どのように働いているのか
- 毎日のルーティン
- 最近のマイブーム
- 興味のあるものは何か
- 愛読している雑誌や本
- プライベート、仕事などの不安や悩み
- 基本的な生活スタイル
- 時間の使い方など
こういった項目や要素を当てはめていくことで、より具体的にリアリティのあるペルソナ作成が可能となります。慣れてくれば全ての項目を無理に埋める必要はありません。自社が求めているペルソナに必要な要素だけを取り入れ、足りない部分は補って追加で設定を行えるようになれば、より質を高めたペルソナの作成が出来るでしょう。
ペルソナの作成事例:従業員数が5名の零細リフォーム企業
社長を含めて全従業員数が5名という規模のリフォーム会社。技術には自信があるものの、思うようなWEBマーケティング、WEB集客が出来ずに悩んでいました。そこで、ペルソナ設定を行いホームページをリニューアルしたところ、問い合わせ件数がアップし仕事の依頼も増加しました。従業員数が少なく大手企業に比べ様々な弱点があるこのリフォーム会社が、どのように情報を集め、設定したペルソナをいかに WEB集客に活かすことが出来たのかを見てみましょう。
ターゲットは?
まず初めに、狙うべきターゲットを決めました。このリフォーム会社は狙うべきターゲットを30代の主婦としていました。その理由は「家の工事などは旦那よりも妻の方に決定権があり、妻の理想に近いものが選ばれる」という思惑がありました。基本的にリフォームは大きな金額が動く重大な工事になりますので、基本的には一家の大黒柱であるご主人に注目しがちですが、このリフォーム会社は逆に、奥さんの方に決定権があり、まずはこっちから攻めないと契約にはつながらない!と考えました。そのため、ターゲットとしたのが「30代・専業主婦・子供アリ」でした。
30代という年齢は、家を購入してまだ年数がそこまでたっていない人、数年住んでみて「こうだったらいいな」という細かな方向性が見えてきた人、具体的なリフォーム内容を考えている人ということで、30代という年代になりました。さらに、専業主婦というのも、家にいる時間が長いためさらに居心地のいい空間にしたいという願望が強く出る傾向にあるという事から設定されました。そして、子供がいる家庭というのは、子供の成長に合わせ家の中を何かしら変化させたいと考えるようになります。こういったことから、ターゲット層を決め、ここからペルソナを作ることにしました
情報収集の方法は?
ペルソナを作るうえで重要な情報収集ですが、従業員数が少なく人手が足りないという問題もあったために、大手のように大掛かりな情報収集を行う事は出来ませんでした。大々的なアンケートを行うのは難しかったため、チラシを作りそこに簡単なアンケートを作成、それを返送してくれた方にはリフォームの割引チケットを返すという方法を取りました。反応はよく多くの情報が集まりましたが、コストが非常にかかってしまったため継続することが出来ませんでした。
次に情報収集として取り掛かったのがクラウドソーシングです。アンケートという形でタスクを作り、多種多様な方からの答えを集めました。その他、従業員が個人的に知人などに聞き取りを行ったりして、社員が一丸となって多くの情報を集めることが出来ました。さらに、これまでの顧客の情報を整理し直しより具体的なペルソナ設定を行うことが出来るようになしました。
設定したペルソナとは?
太田朋美・34歳・専業主婦・A型・製造業勤務の旦那、娘6歳と息子3歳の4人家族・近くに実家があり月に1~2度は祖父母宅で食事をする・関係は良好・料理教室に通っている・趣味は手芸などのハンドメイドで、娘の幼稚園バッグなどもすべて手作り・週に2回程度自宅でママ友とおしゃべり・最近ガーデニングに興味がある・娘が小学校に上がるタイミングでリフォームしたい。
結果は?
このペルソナを設定し、太田朋美さんのニーズに応えられるようHPをリニューアル。落ち着いたデザインから少し可愛らしさを取り入れポップな仕上がりにし、「小学校へ上がるタイミングでのリフォーム」というニーズに合わせ、家事をしながら子供の勉強を見やすくできるようなリビングの作りや実際の写真などを掲載。
さらに動画を作成し、全体のバランスが分かりやすくなる見せ方を取り入れました。さらに、ガーデニングに興味があるという事を踏まえ、リビングからお庭が見えるような間取りの紹介、さらにはガーデニングのやり方やきれいな見せ方までもHPへ掲載しました。
その結果、リフォームに関する問い合わせが急増。そのほとんどが子供を持っている専業主婦の方々で、太田朋美さんと同じ属性のターゲットでした。大人らしさと女性らしさを兼ね備えたデザインにすることで、主婦層の方々に大きな反響が出て、SNSなどでの拡散率も上昇。そこからアクセス数も大幅に上がり、太田朋美さんのニーズに合わせた内容が多くの主婦にヒットしました。さらに、アンケート調査で行ったクーポン券も後押しとなり、配ったクーポンの使用率は80%以上にもなりました。
大手企業には出来ない中小企業ならではの情報収集
コストが掛かるため、大手リフォーム会社のように大掛かりな情報収集は望むことが出来ません。クーポン配布などは大手も行う施策の一つですが、基本的に有効期限があったり何かしらの縛りなどがあるため、中小企業のような柔軟な活用は難しくなります。
また、例え値下げ率が低くても、上記のようにユーザーがアクションを起こすための後押しになることもあるでしょう。さらに、従業員が情報収集を個人的に行ったことで自然と知名度も広がり、そこから口コミで多くの主婦層に知れ渡っていきました。
そこで新しくリニューアルしたHPを見ることで、より企業に対する理解が深まり、「地元の会社だから」「おしゃれなHPだから」という理由から顧客へ変わるという事は十分あり得ます。「太田朋美さん」というペルソナ設定をし、そのニーズに応えるための施策を繰り返すことで、結果として多くの主婦に魅力を与えることに繋がりました。中小企業だからこそ、地元の企業としての繋がりを強くし、この土地の人たちはこんな傾向にあるという分析も、ペルソナ設定を行うのに効果的と言えるでしょう。
ジャンルにより変化するペルソナの具体性
ペルソナは、ただリアルな人物像を作ればいいという訳ではありません。企業の商品やサービスをしっかりと反映し、そこに見合うペルソナ設定を作る必要があります。そのため、効果的なペルソナを作れることが出来たとしても、それが自社にとって最適かどうかはまた違ってくるでしょう。業務にしっかりと組み込むことが出来る効率的ペルソナとは一体どんなものなのか、大手企業を例にご紹介致します。
ECサイト(レディースファッション)
レディースファッションビジネスの王道ともいえるECサイトの例を見てみましょう。これらはスマホのデータを元に整理・分析したユーザーの特徴です。同じレディースファッションという競合であるにも関わらず、ターゲットとしている層やペルソナ情報は大きく異なります。「同じジャンルの企業だから、あそこのペルソナも自社に役立つ」という考えが誤りであるという事が良く分かるのではないでしょうか。同じジャンルであるからこそ、しっかりと自社の狙うべき層や詳細なペルソナ設定が重要となるでしょう。
ユニクロ | ・小学生の子供がいる家庭・家族のために頑張るママ・ファッションへのこだわりはさほど強くない・外食以外での出費率が多い・アプリはあまり活用していないが、コンビニやすかいらーく、マクドナルドのストアアプリを使用・テレビや映画が好き・スポーツに対して非常に強い興味・関心を持っている |
SHOPLIST | ・子育てデビューした新米ママ・プチプラが好き・手芸などの手作りが好き・100円ショップが好き・興味、関心の中心は基本的に子育て・InstagramなどのSNSを活用し情報を集め、口コミを重視している・フリマアプリもよく活用している・記念日やイベントを大切にしている |
ZOZOTOWN | ・ミレニアル世代・可処分所得が多い・賃貸マンションに一人暮らし・AmazonmusicやSpotifyを愛用し音楽が好き・SNSはTwitterを主に活用している・ファッションはもちろん、旅行などの趣味に対する出費が多い・SNOWやFoodieを活用し、写真を盛ったり加工したりするのが好き |
ゲームアプリ
今や1人2台持っているのが普通になっているスマートフォン。様々なゲームアプリも多く配信されており、少しの隙間時間や寝る前の時間に遊んでいるという方も多いのではないでしょうか?こうしたゲームアプリであっても、詳細なペルソナ設定をすることで満足度の高い良質なアプリ開発が可能となります。ゲームのジャンルや内容によっても異なるこうしたユーザーの特徴を把握しなければ、最適なペルソナ設定は行えないでしょう。それぞれのスマートフォンのログデータからユーザー像を分析した例をご紹介致します。
ツムツム | ・ポイントやクーポンなどのアプリを活用し家庭を切り盛りしている・主に食費に対する消費が多い・子供の養育費も管理・LINE関連サービスをよく利用している・コスメや化粧品に気を使っている・ダイエット、健康情報なども常にチェックしている・ファストファッションが好き・ジャニーズが好き・政治関連にはあまり興味がない |
ポケモンGO | ・年収が高く中には1千万以上の家庭もある・お金に余裕があり課金率が高い・ファッションにはあまり関心がない・賃貸よりも持ち家率が高い・政治や経済情報をチェックしている・家族との外食や旅行の頻度が高い・運動不足気味・健康状態や肥満が気になる |
FGO(Fate/Grand Order) | ・様々な新しい情報はTwitterから入手している・車、子供の教育関連にはあまり関心がない・アニメ情報の関心が強い・ニコニコ動画やアイドルマスターなどのオタク系コンテンツも好き・アニメの公式サイトや声優のブログなどもチェック・二次創作も常にチェックしている |
車販売
車を購入したユーザーの情報やデータを整理、まとめたユーザー像の主な特徴です。車の販売は生活用品などと違い、念入りに下調べを行ったり試乗を繰り返したりなど、実際に購入に至るまでの長いプロセスがあります。同じ車の販売であっても、販売方法などによりペルソナ設定は大きく異なるでしょう。こうしたユーザーの情報をもとにより具体的に情報を得ることで、さらに詳細にペルソナ設定が可能になり、効率的で成果が出やすい設定が出来るようになります。
メーカーサイトを中心に閲覧したユーザー | ・車の購入価格が平均よりも高め・特定のブランドのファンであり、他社との比較検討などはあまり行わない・購入した車のカスタム率は低い |
グッズを閲覧しているユーザー | ・ECサイトなどで車用のグッズやパーツなどを定期的に見ている・比較的簡単に取り付けることが出来るパーツなどを探している |
車メディアが好きなユーザー | ・自動車メディアサイトの情報や評論家などの意見を参考にしている・車の購入を検討していない時でも趣味としてサイトの閲覧を行っている・車の購入価格が高い |
口コミサイトを中心に閲覧したユーザー | ・口コミサイトを見ることでパーツの取り付けや個々の評価などを見ている・車の購入価格が平均よりも低め・中古車購入の割合が高い |
ペルソナマーケティング・設定の事例
様々な企業が活用しているペルソナ。ここでは、実際の企業で活用したペルソナ設定を見てみましょう。「ペルソナとは」という話を聞くよりも、実際の例を見たほうがより理解しやすくなるでしょう。大手企業でもこのペルソナは非常に重要な項目として扱っており、ペルソナがあるからこそ最適なマーケティングが出来るといっても過言ではありません。どんな風にペルソナを行っているのか、それに伴いどんな効果があったのかをご紹介致します。
カルビー「ジャガビー」
大手スナック菓子メーカーとして知られているカルビー。その中のヒット商品の一つでもあるジャガビーは、ペルソナマーケティングより誕生し大成功を収めました。基本的にスナック菓子はターゲットを明確にしないで企画・販売されることはさほど珍しいことではありません。多くの人が大好きなお菓子を作り、幅広い層に販売をするという戦略でヒットした商品は数多く存在しています。
しかし、カルビーはあえて「20~30代の独身女性」にターゲット層を絞り込み、商品開発を行いました。その背景には、「10代に比べ20~30代には3割がスナック菓子から遠ざかる」というデータがありました。そこで、あえてこのスナック菓子に対する受け入れ方が他とは違った層に絞り込み、いままでとは違った商品の開発を開始しました。
- 27歳
- 独身女性
- 文京区在住
- ヨガとスポーツに凝ってる
- ファッション誌「Oggi」を愛読
一部ですが、この項目がカルビーが行ったペルソナ設定の人物像です。このペルソナをもとに、文京区の27歳の一人暮らしの女性の部屋にあっても違和感のないパッケージをデザインし、販売当時の商品サイトは彼女の部屋をイメージ、CMでは、その女性が好きなファッション誌Oggiのモデルを起用するなどし、従来とは大きく異なるマーケティングを行いました。結果、一時は生産が追い付かずに販売停止になるほどの大ヒットとなりました。具体的な特徴を明確にしたペルソナの、代表的成功例と言えます。
Soup Stock Tokyo「秋野つゆ」
若い世代を中心に注目されている外食チェーン店Soup Stock Tokyo。数多くの外食チェーンと比べると若い会社ですが、創業10年で売上高た40億円以上という大人気店です。Soup Stock Tokyoのコンセプトはただ一つ「秋野つゆを満足させること」です。この秋野つゆという人物こそ、Soup Stock Tokyoのペルソナになります。このたった1人の顧客像を設定し、秋野つゆが満足できるような商品の開発やマーケティングの施策などを行ってきました。
- 37歳
- 都内在住
- 独身、もしくは共働きで経済的余裕がある
- 都心勤務
- バリバリのキャリアウーマン
- 社交的性格
- プールに行ったらいきなりクロール
これがSoup Stock Tokyoのペルソナ、秋野つゆの設定です。商品開発には一見関係のなさそうな細かな部分まで詳細に設定されています。お店作りの段階から、秋野つゆがよく訪れる土地に、彼女が共感しやすい店舗作りを行い、彼女が好む商品ラインナップを開発してきました。バリバリのキャリアウーマンで都心に住んでいるため、様々な場所へ出かける彼女に合わせて高級住宅街や駅チカなどに店舗を構えています。このペルソナに従い、渋谷などの若者が多くいるような土地に出店をしていないSoup Stock Tokyo。非常に忠実にペルソナ設定を守っています。
経済的余裕のある彼女に合わせ、価格も少し高めで設定されています。さらに、仕事の途中で訪れることも想定し、女性が一人でも入りやすいような雰囲気作りも重視しています。この秋野つゆというペルソナを設定することで、一貫したマーケティング戦略を展開し続け、他にはないただ一つのブランド構築に成功してきました。その結果、10年で40億円以上の売上高、店舗数も50以上という大成功を成し遂げました。
大手だけじゃない!中小企業でも成功するペルソナ事例
ペルソナ設定が有効的なのは大手企業だけではありません。規模の小さい中小企業やベンチャー企業でも有効で、むしろ大手企業よりも効果を強く実感できるでしょう。中小企業などの場合、従業員だけに任せるのではなく、社長も積極的にマーケティングに参加しておきましょう。自社の状況、最適なペルソナが何なのかを把握することで、より企業の成長へと繋げることが出来るようになります。ここでは、規模の小さな店舗でのペルソナ成功例をご紹介します。
楽器屋「ハピネス」
東京都立川市にある楽器屋さんです。従業員数が13名と大きなお店とは言えません。このお店では、鍵盤楽器や打楽器などの販売だけでなく、リペアや音楽教室事業も行っています。少子高齢化のより、若者からの需要が低くなっていますが、最近中高年の間で楽器演奏が流行りつつあるという事に注目しました。そこで、ペルソナ設定を行いマーケティングを強化し新規顧客の獲得へ向けた取り組みを行いました。
- 立川市在住
- 男性
- 50歳
- 妻と息子の3人暮らし
- 長男は大学生
- 休日は家族サービスをしていたが息子が大学生になり自分の時間が作れるようになった
- ギターに憧れ
- 趣味は音楽鑑賞とアウトドア
- 好きなバンドはサザンオールスターズ
- 日焼け顔のアクティブな男性
ハピネスは、このペルソナ像を作成することによって、Webコンテンツの方向性を確定すると同時に、Web広告の打ち出しも行いました。お店のHPでは、商品の紹介だけでなく、大人のためのギター講座や体験談の紹介、50代から始める楽器の楽しさや練習方法など、終える祖名に合わせた内容を盛り込んで作成しました。その中で、アウトドアが趣味のペルソナに合わせて、楽器とアウトドアを関連付けるようなコンテンツを作ったりもしました。
さらに、商品の購入までの分かりやすい導線、講座を申し込むための入力内容を簡単にするなど、50歳のペルソナでも躓かずにスムーズな操作が出来るような作りを重要視して作成しました。その結果、40~50代以上の顧客の獲得に繋がり、体験申し込みも前年比の2.4倍に増えました。顧客のほとんどは立川市在住の方で、近所の人々が集う小さなコミュニティのような存在として多くの方に慕われています。
ペルソナ設定のメリット・デメリット
ペルソナ設定を行うと、事例のように非常に大きな成果を上げることが可能となります。しかし、ペルソナ設定を行う事は必ずしもメリットばかりという訳ではありません。もちろん、同様にデメリットも存在しています。このメリット・デメリットをよく理解し、内容を深く把握しておくことで、ペルソナをうまく活用することが出来るようになります。
メリット
ペルソナ設定を行うにあたり生じるメリットはどんなものになるのでしょうか。ただ単にマーケティングに役立てるというだけではありません。メリットを知ることで、より効果を発揮できるような自社に合った強みを見出すことが可能となります。様々な視点から見えてくる、ペルソナ設定のメリットをご紹介致します。
ユーザーの動向を予想・把握できる
ペルソナ設定を行う事で、ユーザー視点でのマーケティングが可能になります。顧客像に対して、徹底的に生活スタイル、心情面での分析を行います。そのため、こうした情報からユーザーの細かな動向や心の動きなどを予想しやすくなるでしょう。そのため、ユーザー視点での商品開発などもしやすくなります。
ペルソナを設定するという事は、いかにこの人物の満足度を高めることが出来るかどうかがポイントとなります。ユーザーの動向を予測し先を見据えることで、そこに向かうためのマーケティングの方向性も見えてくるでしょう。結果として、ペルソナの後ろにいる多くのユーザーのニーズに正しく答えることになり、より具体性のある施策を打てるようになります。
自社内でユーザー像を共有しやすい
商品の開発者、サービス発案者、マーケティング担当者など、一つのプロジェクトに携わる人すべてで同じペルソナを共有することで、認識のズレや思い違いなどを防ぐことが出来ます。こうしたズレは、始めは小さなものであっても徐々に広がり最終的に大きなトラブルを引き起こす要因にもなるでしょう。
また、今後の方向性を決めるための会議などでも、このペルソナ設定を行っておけば議論の無駄をなくしコストカットすることが出来ます。成功を収めるための道を最短で進むことが可能となるでしょう。はっきりとしたペルソナ設定を行う事で、社内全体で共通のイメージ像を持ちピンポイントで効果的な施策を行うことが出来ます。
完成度を高められる
ペルソナ設定での最大のメリットと言えることは、ペルソナが望んでいるものを企画し提供できるようにする事でしょう。先ほどお話ししたように、ユーザー目線での施策を行うことが出来るようになります。そのため、ペルソナが本当に求めているものなどが自然と見えてくるでしょう。
とにかくペルソナのニーズを満たすことを重点としたアイディアを出すことでピンポイントに伝わり、需要を満たすことのできる完成度に高めることが可能です。ペルソナ設定を行いユーザー視点で企画、マーケティングを行い正しく社内で共有をすることが、魅力のある素晴らしい完成度へと近づけさせてくれます。ペルソナ設定を行う事で得られる完成度は、ターゲット設定のみではたどり着けないでしょう。
デメリット
ペルソナ設定を行う事で多くのメリットを得られますが、それとは逆にデメリットも当然あります。しかし、しっかりと知識を知っておくことで、最小限のデメリットに抑えることが出来るでしょう。メリットだけに注目するのではなく、その反動に至る部分まで深く理解することで、正しい活用が出来るようになります。
時間・コストが掛かる
正しく魅力のあるペルソナを作り上げるためには、多くの情報を収集し整理、そこから人物像を設定するなど、多くの工程を順にクリアしていかなければいけません。イメージだけで正確なペルソナを作成することはまず不可能でしょう。ペルソナの作り方でご紹介したように、アンケートやインタビューなども行う必要があります。
そのため、「ペルソナを作ろう!」と決めてから完成までに非常に時間と手間を要するでしょう。そのためのコストもかかります。しかし、ここを疎かにしたり雑に行えば、成功に繋がるようなペルソナを作成することは出来ません。正しく正確なペルソナを作るためにも、ここは妥協せずにまず力を入れて取り組むことが大切です。
大胆で新しい発想がしにくい
ペルソナの設定を行うという事は、細かくターゲットを絞り込み、そのたった一人に向けたマーケティングを行うという事です。そのために大きな成功を収めることも可能となり、社内で方向性を統一する事もしやすくなるでしょう。しかし、「30代・男性・車好き」などという大きなターゲットとは違い個人に向けた施策となるので大胆で新しい発想などが潰れてしまう場合もあるでしょう。
確かにペルソナ設定は効率的で大きな効果を得ることが出来ます。しかし、逆に大胆なイノベーションを起こしたいという時などには、効果が薄れてしまうでしょう。そのため、自社の施策や企画によって、最適な方法を見つけ出すことが重要となるでしょう。
誤ったペルソナを設定してしまう
効果的な正しいペルソナを設定するためには、多くの情報を収集することが大切です。そのためには、細かくリサーチを行い綿密に整理をする必要があるでしょう。しかし、先ほどもお話しした通りどうしてもコストが掛かってしまいます。こうしたコストを節約するためにリサーチやアンケート、インタビューなどが行えないという場合、仮定の正解から大きく外れてしまうでしょう。
更に、ここで「F1層」などのイメージを引きずってしまうと、余計に間違ったペルソナ設定をしてしまう可能性が大きくなります。ペルソナ設定を誤ることで、商品開発、マーケティングなど、全てが間違った方向に進んでしまいます。コストが掛かってしまう事を念頭に入れつつ、その中でどうやって効率よくペルソナ設定を行えばいいのか、自社の状況などによる正しい判断力が必要になります。
ペルソナ設定の重要性
ターゲットを絞り込んだペルソナ設定の重要性をしっかりと把握しておきましょう。何のために必要なのか、どうして重要なのかを理解しておくことが、正しいペルソナの活用が出来る大切な要素となります。ターゲット設定とはまた違う重要性を知ることで、より効果を強めることが出来るでしょう。
「たった一人」が「多くのユーザー」に繋がる
冒頭でお話ししたように、ペルソナは「仮面」という意味を持っています。具体的な消費者像を設定し、たった一人に向けた商品開発を行う事により、その背景にある数多くのユーザーに対する魅力的なプロモーションを行うことが出来るでしょう。趣味や好み、活用しているSNSや休日の過ごし方など、細かな人物像までを作り上げることで具体性が上がり、よりリアルなターゲットに向けた提供が出来るようになるでしょう。その結果、たった一人に向けたものが、多くのユーザーに向けた魅力のあるものへと進化します。これこそが、ペルソナの大きな重要性となるでしょう。
潜在意識の法則
牧師として活躍したジョセフ・マーフィー博士は、潜在意識の法則を提唱しました。これは「人間の脳は約3%の顕在意識、97%の潜在意識で行動する」という内容です。普段の行動で、考えてアクションを起こす消費行動は、その3%の意識の中で行っているという事です。ペルソナはこの3%の部分ではなく、潜在意識の97%に訴えかけるものとなります。消費者が本当に望むものがこの97%の潜在意識の中にあるのであれば、正しいペルソナ設定で大きな成功を得ることが出来るでしょう。ペルソナマーケティングは、潜在意識の中にある消費行動を把握できる最善な策となります。
ペルソナは一人だけじゃない!
「ペルソナは特定の人物像を作り上げる」という施策になりますが、設定するペルソナは一人だけとは限りません。自社の目的やゴールに対して、複数のペルソナを作ることも可能です。しかし、複数の作成を行うためには必ず守らなければいけない注意点があります。ペルソナ同士は違う属性、違うニーズや特徴を設定します。しっかりと強弱をつけ、関係性なども考慮し設定を行ってください。ここを違えず上手く作ることが出来れば、より効果を強めたペルソナマーケティングを行うことが出来るでしょう。
複数のペルソナ作成の事例
ペルソナが一人だけでなく、複数いる事例をご紹介します。総合エレクトロ二クスメーカーの富士通は、会社の方向性として「社会全体で子供を育てる」というコンセプトを持っています。そこで、子供用のWebサイトをオープンし、ここで様々な技術の素晴らしさを伝えています。ここで設定されているペルソナが、小学生の「佐藤美咲ちゃん」10歳、美咲ちゃんの先生「松本秀幸先生」32歳、さらに美咲ちゃんのお母さん「佐藤幸子さん」38歳です。
富士通は、このペルソナ設定を作るために実際の小学校や中学校の先生、保護者へのインタビューを行いました。このサイトにきた美咲ちゃんはどう感じるのか?まず何をしたいと思うか?このリンクに気付くか?といったペルソナ視点でのサイト作りを行っています。もちろん美咲ちゃんだけでなく、先生やお母さんの視点でのサイト作りも行っています。その結果、大きな反響を得ることが出来、ハンドブックの累計ダウンロード数は7,000件以上となっています。
- 大手メーカーに勤務の父と専業主婦の母
- 2歳年下の妹
- 明るく温厚
- クラスの人気者
- 中学受験を考えている
- 3歳からピアノを習っている
これが美咲ちゃんのペルソナです。非常に細かな部分まで作られており、これを軸にした子供向けのWebサイトは大人からの支持も高くなっています。この富士通のペルソナ設定は、ペルソナマーケティングの有効性を広く社会に認識させることが出来た多きな例と言えるでしょう。
ペルソナの注意点
ペルソナの基本的な作成方法や設定、メリットやデメリット、重要性などを理解しても、作成の注意点を把握しておかなければ正しい作成は出来ないでしょう。どんなところに注意すべきか、何に気を付けるべきかをしっかり理解しておくことが大切です。作成に入る前に、注意点をよく頭に入れておきましょう。
リアルな人物設定
とにかくペルソナで大切なのはリアリティです。顧客情報やターゲットユーザー、インタビュー、アンケートなどの徹底したリサーチから具体的なペルソナ作成を行いましょう。氏名、年齢、性別などといった個人的設定にプラスし、生活スタイルや趣味嗜好などの細かな部分まで設定し、一人の人間を作り上げて下さい。想像だけで項目を決めていくのではなく、実際のデータに基づいたリアリティが重作り上げることが要です。身近にいそうな誰もが納得するタイプにしましょう。
理想や思い込みを詰めすぎない
開発担当者、マーケティング担当者がもともと持っているイメージや方向性などがあるため、どうしても「こうだったらいいな」「この方がやりやすいな」と言った理想が出てくることもあるでしょう。しかし、企業側の理想に完璧なユーザーというのは存在しません。現実のユーザーの良く知り、リアリティを追求したペルソナを作ることが大切です。口コミサイトなどの評価を見てみるのもいいでしょう。まずは現状をよく把握し、現実駅な考えを持つ事が大切です。
分かりやすくイメージしやすい人物設定
具体的なペルソナ設定を行っても、担当者や他の社員がイメージしにくいものであれば意味がありません。ペルソナ設定は、幅広いターゲット層からたった一人に絞り込んだ作成になるため、詳細に作りすぎてしまうという事もあります。具体的でリアルな人物設定は重要ですが、現実とかけ離れすぎていてはイメージしにくくなってしまうでしょう。不必要な要素は削除し、分かりやすくまとめるのも重要です。写真などで外見の設定をするのもイメージしやすくなる一つの方法です。
作りっぱなしはNG
ペルソナとは、現実のユーザーの情報を反映した人物像になります。時間が経てば、ユーザーの環境なども変化するように、ペルソナも定期的に完了していく必要があります。一度作ったペルソナをそのままにするのではなく、ユーザーの声をよく聞き、最新の顧客増を維持するために定期的にブラッシュアップするようにして下さい。期間は企業により異なりますが、基本的には1年間が目安と言われています。業界に劇的変化が起こるようなことでもない限り、根本的な修正をする必要はありません。あくまでもリアルなユーザーの状況を反映することが大切です。
コンテンツSEO・記事作成にもペルソナ設定は必要!?
SEOを意識しつつ、ユーザーにとって魅力のある記事コンテンツを投稿するオウンドメディア。ペルソナは、こうしたコンテンツマーケティングに非常に有効で、相性が良いのも特徴的です。SEOにおいては、ユーザーのニーズと検索キーワードを対応させることが大切です。そのため、ペルソナ設定は非常に重要な項目となります。コンテンツの方向性を見出し、ペルソナ設定した人物像はどう思うか、この記事を見てどう感じるかという予想を立てることで、記事の質を高めるのにとても効果的になります。
しかし、先ほどもお話しした通りペルソナ設定は非常に時間がかかります。徹底した情報収集を行い整理・分析をし、様々な要素を組み込み一人の顧客を作り上げます。また、コンテンツSEOも簡単に実行できるものではありません。そのため、ペルソナを活用するコンテンツSEOは、非常に時間と手間がかかるでしょう。
しかし、ペルソナ設定はユーザーに魅力ある情報を配信するためにも欠かすことのできない重要な施策になります。長い目で見れば、ペルソナ設定を行わないコンテンツに比べ将来的な効果は大きくなるでしょう。活用して無駄になることはありません。正確なペルソナ設定を行い、自社のコンテンツに役立てていきましょう。
SEO対策相談所ではペルソナ設定から丸ごと対応!
SEO対策相談所では、「ペルソナ設定が出来ない!」「どうやって作ればいいのか分からない」「自社に最適なペルソナって一体どんなもの?」という悩みにも柔軟に対応いたします。コンテンツSEOを強化したいけどペルソナが分からない…。そんな時は、ぜひSEO対策相談所へご相談ください。
細かなヒアリングから、企業の特徴、強化ポイント、狙うべきターゲット、理想的な顧客像を組み立て、最適なペルソナ設定からコンテンツの作成まで一貫して行います。些細な心配事でも構いません。ペルソナ設定を行いたいけど自信がないから手伝ってほしい。そんなお悩みももちろん歓迎いたします。まずは一度お問い合わせください。
まとめ
ペルソナ設定は、効果的かつ有効性の高いマーケティングの手法になります。ペルソナ設定を行う事で、「この人は、こんな生活を送ってこんなものが好き、だからきっとこんな商品・サービスを求めているかもしれない」と考え進めていくことが出来ます。しかし、誤った設定をしてしまえば始まりから躓いてしまう事もあるでしょう。そのためにも、徹底したリサーチは非常に重要です。
ユーザーのニーズが多様化し複雑な現代だからこそ、ペルソナ設定を行い正しく活用することで、本来のマーケティングの魅力を存分に発揮できるようになるでしょう。どんな企業でも、商品開発、プロモーション、マーケティング業務など、様々な分野において重要となるペルソナは、事業の成功へ導いてくれる大きなカギとして注目されています
ペルソナ設定は、コンテンツSEOやコンテンツマーケティングには欠かせないものです。確かに、カスタマージャーニーと非常に似ていますが。実はWEB集客における役割は全く違うものになります。今回の記事では、Webマーケティング担当者さんでまだ経験が浅い初心者向けにペルソナ設定を詳しく解説します。