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企業サイトの8割が「一般論」と回答|1,722本監査で一括削除を止めた理由

2026-09-0311分で読める

Editorial note

  • GXO株式会社 / LABOZ編集部が、SEO・AI検索・SNS集客の実務観点で公開内容を確認しています。
  • AIを活用する場合も、構成、事実関係、成果表現、CTAは人間が確認し、必要に応じて更新します。
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目次

株式会社IDEATECHが2026年6月4日に公表した自主調査では、BtoBサービスの導入担当者105名の79.0%が、企業サイトについて「どこも一般論しか書いていない」と感じることがあると回答しました。同じ調査で、問い合わせ先を決めた理由の最多は「デメリットやリスクも公開する誠実さ」で57.1%です。このメディアを運営している私たちも例外ではありません。記事1,722本を監査した結果、確認済みの品質負債は隔離する一方、当初の「1,110本を削除する」という案は止めました。検索実績が少ないだけでは、有害だとも不要だとも証明できないからです。何を直し、何を保留し、どの条件なら処置するのかを、監査の実データとともに公開します。

調査が示した3つの数字

調査はBtoBサービスの導入担当者を対象に、AI時代の情報接触の実態を聞いたものです。結果の要点は同社のプレスリリースで公開されています。

項目結果
企業サイトを「どこも一般論しか書いていない」と実感約8割
問い合わせの決め手(最多)デメリットやリスクも公開する誠実さ 57.1%
AI検索普及後に企業サイトへ求める価値(最多)AIには書けない生々しい事例や現場のノウハウ 過半数

企業の自主調査であり、設問の全文や母集団の詳細は公開範囲が限られます。数字の精度そのものより、「一般論」「誠実さ」「生々しさ」という3つの語が同時に出てきたことに意味があります。

「一般論」とは具体的に何を指すのか

批判として言われがちですが、定義が曖昧なままでは直せません。監査の過程で分類したところ、実際には次の4つの型に分かれました。

型1. 誰にでも当てはまる説明で全体が構成されている

「ユーザーの検索意図を理解することが重要です」「継続的な改善が欠かせません」。正しいけれど、読んだ人が明日何をするかは変わりません。反対のことを言う人がいない主張は、情報として機能していません。

型2. 出典のない数値で説得しようとしている

「◯%の企業が成功しています」「導入企業の平均で△倍に向上」。数字があると具体的に見えますが、出どころが書かれていなければ検証できません。読み手が確認できない数字は、あってもなくても判断は変わらない。むしろ、確認しようとして確認できなかったときに、記事全体の信頼が落ちます。

型3. 匿名の事例で成果を語っている

「A社では6か月で問い合わせが3倍に」。社名を伏せる事情は理解できますが、業種も規模も条件も書かれていない事例は、読み手が自社に当てはめられません。守秘義務は、粒度を落とす理由にはなっても、検証可能性をゼロにしてよい理由にはなりません。

型4. 構成が他の記事と同じ

「◯◯とは」「メリット5つ」「デメリット3つ」「まとめ」。テンプレート自体は問題ではありません。問題は、その枠に入る中身が別の記事と入れ替えても成立してしまうことです。

自社のメディアを全件監査した

他社を論じる前に、自分たちのメディアを実測しました。対象は2026年9月時点で公開している記事1,722本の全件です。本文はデータベースから取得し、機械的に判定できる項目を出したうえで、判定の重い部分は目視で確認しました。

現在の公開状態

状態本数現在の扱い
確認中表示へ隔離788本元本文・元タイトル・元要約を見せず、noindexで保持
noindexで保持46本現行本文は残し、検索対象から外して観察
完全重複を3011本内容が一致する残存ページへ統合
通常公開887本上記に該当しない公開記事

別に、監査台帳では1,110本を安全判定待ちとしています。これは削除リストではありません。うち576本は上表の隔離群と重なり、残る534本は通常公開中です。1,110本のうち568本は本文が8,000字以上でした。短さだけでなく長さだけでも価値は決められないため、検索実績・被リンク・現行本文・内部リンクを確認し、明確なマイナスだけを処置します。

何が見つかったのか

  • 外部への出典リンクが1本もない記事が1,238本(71.9%)。数値や調査結果に触れていても、確認先が示されていない状態です
  • 検証できない数値の疑いがある記事が558本(32.4%)。これは正規表現による機械検出であり、疑いの検出であって断定ではありません
  • 自社の測定値として断定する42本と、その数値を引用する4本は目視で確認しました。裏づけを確認できない記述が公開されたままにならないよう、現在は46本を含む確認済みの疑義記事を確認中表示へ隔離しています
  • 2026年5月7日の一括更新で、217本の本文がテンプレートに上書きされていました。元の内容が失われ、汎用的な文章に置き換わった状態が数か月続いていました

4つ目は事故ですが、上の3つは事故ではありません。そういう作り方をしていた、というだけです。

なぜこうなったのか

原因1. 本数を目標にしていた

記事数が指標になると、1本あたりに使える時間が削られます。時間が足りないと、調べる工程から先に削られる。結果として、調べなくても書ける一般論の比率が上がります。本数は成果ではなく、投入量です。投入量を目標にすると、質は必ず落ちます。

原因2. 出典を張る工程が手順に入っていなかった

外部リンクが0本の記事が71.9%あった一方で、リンクを張っている記事の参照先はGoogleの公式ドキュメントや官公庁のページで、妥当なものでした。やり方を知らなかったのではなく、その工程が標準手順に存在しなかったということです。

原因3. 具体性を「数字」で出そうとした

一般論を脱するには具体性が要る、という判断は正しい。しかしその具体性を、手元にない数字で埋めようとしたのが誤りでした。具体性は数字だけで出すものではありません。何を確認するか、どの順番でやるか、どこで失敗しやすいか。手順と判断軸のほうが、検証できない数値よりよほど具体的です。

原因4. 誰も全体を見ていなかった

1本ずつ見れば「悪くない記事」でも、1,722本を並べると同じ構成と同じ主張が並んでいることに気づきます。個別のレビューでは、量産による同質化は検出できません。定期的に全件を横断で見る工程がないと、この状態は進行し続けます。

Googleが問題にしているのは「作り方」ではなく「価値」

記事の量産が危ないという話になると、「AIで書いたから駄目なのか」という論点にすり替わりがちです。Googleがスパムポリシーで定義している大量生成されたコンテンツの不正使用(scaled content abuse)は、そうは書かれていません。

同ポリシーは、これを「検索順位の操作を主目的として多数のページが生成され、ユーザーの役に立っていない状態」と説明し、「どのように作られたかにかかわらず、独自性がなくユーザーにほとんど価値を提供しない大量のコンテンツを作ること」に焦点があるとしています。挙げられている例には、生成AIツールを使って価値を加えずに多数のページを作ること、他所の内容をつなぎ合わせて価値を加えないこと、などが含まれます。

つまり判定の軸は「何で書いたか」ではなく「なぜ書いたか、読み手の役に立つか」です。安全判定待ちの1,110本も、AIで書いたという理由や検索クリックが少ないという理由だけでは処置しません。明確な誤情報・破損・重複・検索順位の操作だけを目的にした低価値量産だと確認できたものを赤、それを確認できないものを黄、表示・被リンク・問い合わせへの寄与や独自価値があるものを緑として扱います。

この区別は運用上も重要です。「AI利用を禁止する」というルールを作っても、人間が同じ密度で一般論を量産すれば同じ状態になります。禁止すべきは道具ではなく、価値を加えない工程です。

監査の手順を公開する

「全件監査」と書くと大掛かりに聞こえますが、実際にやったことは限られています。同じことをやりたい方のために、手順を残します。

1. 本文を機械的に取り出す

本番サイトを大量にクロールするとサーバーに負荷がかかり、アクセス制限を受けることもあります。データベースのバックアップから本文を取り出すほうが速く、安全です。私たちの場合、ダンプにない記事が55本あり、それだけを本番から1本ずつ取得して補いました。ここで母集団を取り違えると、以降の集計がすべてずれます。サイトマップの件数と突き合わせて確認してください。

2. 機械で判定できる項目を出す

本文の文字数、外部リンクの有無、他の記事と共有している文の割合、本文やタイトルの完全一致、数値表現と出典の共起。これらは自動で出せます。目視が必要な判断に人手を残すために、機械でできることは全部機械にやらせます。

3. 重い判定だけ目視する

私たちが目視したのは、自社の測定値を断定していると機械が検出した62本です。読んだ結果、そのうち8本は誤検出でした。「自社実測を業界全体に一般化してはいけない」と注意喚起している文章が、検出条件に引っかかっていたためです。機械判定の結果をそのまま処遇にすると、こうした逆方向の記事まで消すことになります。

4. 検索の実績と突き合わせる

内容の機械判定だけで消す・残すを決めると、読まれている記事や参照されている記事を誤って消します。私たちは、処置前に過去12か月のSearch Console表示回数・平均順位、外部被リンク、現在公開されている本文、他ページからの内部リンクの4点を確認する方式へ切り替えました。Search Consoleの上位URLしか取得できない場合、「データにない」は「実績ゼロ」ではなく取得下限未満の可能性があります。ゼロと決めつけないことが重要です。

5. 判定ルールを文章で残す

「なんとなく質が低い」で処遇を変えると、後から説明できません。どの条件で隔離・訂正・301・410・保留・改善になるかを順序つきで書き、根拠を1記事ずつ台帳に残します。ルールと証拠から結果を再現できないなら、それは判断ではなく感想です。

一般論でない記事の条件

監査を経て、社内の基準を作り直しました。次の5つを満たさない記事は公開しない、という運用にしています。

条件確認方法
反対の立場が成立する主張が含まれている「そうでない場合もある」と書ける論点があるか
数値には出典と条件が添えられている主体・時期・対象・設問が書かれているか
読者が明日できることが書かれている手順として実行できる粒度か
失敗する条件が書かれている「効かない場合」の記述があるか
他の記事と入れ替えられない固有名詞・日付・具体的な状況が本文にあるか

各項目をどう確認するかを工程として持ちたい場合は、E-E-A-T実装チェックリスト 2026が実務の手順に近い形でまとまっています。

このうち、いちばん効くのは4つ目です。効かない条件を書ける人は、その領域を実際にやったことがある人だけだからです。一般論で書かれた記事に共通するのは、失敗の記述がないことでした。

デメリットを書く、ということ

調査で問い合わせの決め手の最多が「デメリットやリスクも公開する誠実さ」だったのは、逆に言えばほとんどの企業サイトが良いことしか書いていないということです。ここには実務上の抵抗があります。営業が「わざわざ不利なことを書くな」と言う場面は珍しくありません。

ただ、書かないことで防げているのは失注ではなく、合わない相手からの問い合わせが減らないという状態です。条件が合わない相手が問い合わせてくれば、対応の時間は消費されます。断れば相手にも時間の無駄が生じます。デメリットの記載は、集客を減らす施策ではなく、合う相手だけを残す施策として設計するほうが社内の合意を取りやすくなります。

何を書けばデメリットになるか

  • 向かない条件: どういう状況の会社には勧めないか
  • できないこと: 対応範囲の外にあるもの
  • 前提となる負担: 発注側に必要な時間や体制
  • 効果が出ない場合: どういう条件だと成果につながらないか
  • 期間の不確実性: 保証できないものは保証しないと書く

いずれも、書いた瞬間に問い合わせの母数は減ります。減ったうえで商談の質が上がるかどうかは、実際にやってみないと分かりません。私たちも、この記事を書いている時点ではまだ検証の途中です。

一括削除を止め、安全判定へ切り替えた理由

当初は1,110本を削除候補としていました。しかし、検索クリックが少ないこととサイトへマイナスであることは同義ではありません。Search Consoleの「手動による対策」がないことも確認できたため、不可逆な処置を急がず、証拠を揃える方針へ変更しました。

一方で、裏づけを確認できない自社測定値や壊れた本文を読者へ見せ続けることもできません。そこで、確認済みの負債は先に隔離し、未確認の記事は公開状態を変えず、4つの証拠を取ってから赤黄緑を決めるという順序にしました。

赤判定後も、処置は一律ではありません。

  • 訂正: 誤りの範囲が限定され、記事の目的が残る
  • 隔離: 読者へ見せるリスクがあるが、復旧・再確認の余地がある
  • 301: 被リンクがある、または内容の近い残存記事へ統合できる
  • 410: 代替先も独自価値もなく、明確なマイナスが確認できる

無関係なページへの301はしません。赤が多数なら分割して実行し、2週間単位で指標を観察します。処置によって順位が回復する保証はなく、順位回復を理由に削除しません。目的は、経営者や発注担当者へ誤った判断材料を渡さないことです。

「読まれている一般論」をどう扱うか

監査でいちばん判断が難しいのは、検証できない数値を含んでいるのに読まれている記事です。私たちの場合、これが116本ありました。消せば流入を失い、放置すれば読まれるほど不利になります。

採った方針は、消さずに数値だけを外すです。具体的には次の3択で処理します。

状況処理
公開されている調査や統計で裏づけられる出典と条件を添えて残す
裏づけは取れないが、主張自体は成立する数値を外し、定性的な記述に置き換える
数値を抜くと主張が消えるその段落ごと削除する。埋め合わせない

3つ目が重要です。抜いた分を別の数字で埋めたくなりますが、それが最初の失敗と同じ動きです。主張が成立しないなら、その主張を書かないのが正解です。

この記事自体の検証可能性について

ここまで自社の監査結果を数字で書きました。これらは外部の第三者が検証できるものではありません。私たちの内部データだからです。その意味で、この記事も「検証できない数値」を含んでいます。

できる限りの担保として、次のようにしています。

  • 数字の定義を書く(1,722本は監査時点の公開記事全件、1,110本は削除数ではなく安全判定の母集団)
  • 機械判定と目視を区別する(558本は広い条件による疑いの検出であり、外部発信では検証不能記事数として扱わない。46本は自社測定値の断定または引用を目視したもの)
  • 判定手順を公開する(前述の5ステップ)
  • 断定を避ける(「捏造していた」ではなく「裏づけを確認できない」と書く)

読み手が確認できない数字を出すときに最低限できるのは、この4つだと考えています。「検証できないから書かない」ではなく、「検証できない範囲を明示して書く」という扱いです。

完了したことと、継続すること

2026年9月3日時点で、確認済みの品質負債788本は確認中表示へ隔離し、別の46本はnoindexで保持し、完全重複1本は残存ページへ301しました。Search Consoleの「手動による対策」はありません。安全判定待ち1,110本のうち、隔離と重なる576本を除く公開534本は、有害だと確認された記事ではありません。この534本は新規制作を止めずに並行確認し、赤だけを処置し、黄は凍結、緑は改善候補にします。

今日からできる自己点検

全件監査は規模によっては現実的ではありません。まず次の3つだけでも、自社の状態は見えます。

  1. 直近に公開した記事を5本開き、外部への出典リンクの数を数える。0本が続くなら、出典を張る工程が手順に入っていない可能性が高い
  2. 本文中の数値を10個拾い、出どころを追えるか確認する。追えないものが多ければ、型2に該当しています
  3. 2本の記事の見出しを並べて比べる。入れ替えても成立するなら、型4に該当しています

なお、記事の中身を直したあとに何が見られるかはAI検索で見つけた会社の98%が裏取りするという調査で扱っています。この3点で重大な問題が見つかり、制作工程も直っていないなら、その工程での新規公開をいったん止めます。確認済みの負債を隔離し、出典確認・品質監査・公開後計測の工程を直せたら、安全判定と新規制作は並行できます。量産をやめた先に何が残るのかという論点は、SEOは終わったのか?AI検索時代に残るSEOにあります。

よくある質問

Q. 一般論の記事でも、検索順位は取れているのですが

順位が取れていることと、問い合わせにつながることは別です。また、読み手が比較検討の段階にいる場合、一般論の記事は判断材料になりません。順位を落とす必要はありませんが、読まれた後に何が起きているかを確認する価値はあります。

Q. 出典を張ると、他社サイトに読者が流出しませんか

出典先は多くの場合、公的機関や公式ドキュメントであり、競合ではありません。むしろ確認できる記事のほうが、読み手が判断に使えます。検証できない記事を読んで判断を保留されるより、確認できて次に進んでもらうほうが得です。

Q. 数字を使わずに、どうやって具体性を出すのですか

手順と判断軸です。何を、どの順番で、何を基準に決めるのか。どこで失敗しやすいのか。これらは顧客情報を出さずに書けて、しかも実際にやったことがない人には書けません。具体性の出し方は、成果の数字だけではありません。

Q. 監査にはどのくらいの工数がかかりますか

機械的に判定できる部分(本文の長さ、外部リンクの有無、重複、数値表現の検出)は自動化できます。時間がかかるのは、検出結果を1本ずつ目視して判断を確定させる工程です。私たちの場合、目視は重い判定に絞り、残りは機械判定の結果を根拠として残す形にしました。全件を人が読む前提にすると、始められません。

Q. なぜ自社の失敗を公開するのですか

調査で問い合わせの決め手の最多が「デメリットやリスクも公開する誠実さ」だったからです。その調査を紹介しながら、自社の状態を書かないのは筋が通りません。加えて、記事の量産で同じ状態になっている企業は少なくないと考えています。実際に起きたことの記録は、一般論より役に立ちます。

まとめ

企業サイトが「一般論ばかり」と言われる状態には、4つの型があります。誰にでも当てはまる説明、外部への出典リンクがない数値、条件の分からない匿名事例、入れ替え可能な構成です。私たちが自社メディア1,722本を監査したところ、外部リンクが1本もない記事は1,238本(71.9%)でした。安全判定待ち1,110本のうち568本は8,000字以上で、長さだけでは価値を判断できないことも分かりました。

原因は、本数を目標にしたこと、出典確認が標準工程になかったこと、具体性を手元にない数字で埋めようとしたこと、そして誰も全体を横断で見ていなかったことです。現在は、確認済みの負債を隔離し、未確認の記事はSearch Console・被リンク・現行本文・内部リンクを見て赤黄緑に分けています。一括削除を止めた判断も、誠実さの一部として公開します。

この記事で書いた5ステップは、規模が小さければ社内でも回せます。手が足りない、あるいは自分たちで判断すると甘くなるという場合の選択肢として、棚卸しから実装までを外部が担う形もあります。範囲はATKのサービス内容に記載しています。