BtoBの外注先選びでAI検索64.1%という調査|検索55.0%と単純に比べられない理由
Editorial note
- GXO株式会社 / LABOZ編集部が、SEO・AI検索・SNS集客の実務観点で公開内容を確認しています。
- AIを活用する場合も、構成、事実関係、成果表現、CTAは人間が確認し、必要に応じて更新します。
目次
- まず何が発表されたのか
- ナイル株式会社の調査(2026年8月6日公表)
- 同じ時期に出たもう一つの調査
- この2つの数字は、並べて足し算してはいけない
- 64.1%と約10%が同居する理由
- 調査ごとに数字が割れるのは普通のこと
- それでも、この一連の調査から確実に言えること
- 1. 比較の場が、自社サイトの外に移った
- 2. 発見はまだGoogleが優位
- 3. 使われ方が「探す」から「比べる」に寄っている
- 発注される側が、今日確認できること
- 手順1. 自社が比較の土俵に載るか試す
- 手順2. 出てきた内容の出どころを追う
- 手順3. 一度だけの結果で判断しない
- 手順4. 記録の形式を決めてから始める
- 「比較の土俵に載らない」には3つの層がある
- 層1. そもそも読まれていない
- 層2. 読まれているが、比較に使える情報が書かれていない
- 層3. 書かれているが、比較の形式になっていない
- Googleの公式見解と、実務でやることのズレ
- 社内で説明するときの1枚
- 比較で負ける典型パターン
- パターン1. 条件が書いていないので候補から外れる
- パターン2. 良いことしか書いていないので信用されない
- パターン3. 第三者の情報だけで語られる
- やりがちな判断ミス
- ミス1. 「AI検索対策」として記事を増やす
- ミス2. 数字を作って埋める
- ミス3. 業者の提案を数字の大きさで選ぶ
- 何から着手するかの順番
- 本記事で引用した数字の一覧
- 業種によって、当てはまり方は変わる
- よくある質問
- Q. AI検索対策をやれば、Google対策はやめてよいですか
- Q. 64.1%という数字を社内資料に使ってよいですか
- Q. 自社の業種でAI検索が使われているか、どう調べればよいですか
- Q. 施策の効果が出るまでの期間は見積もれますか
- まとめ
BtoBサービスや外注先の選定で、AI検索が使われる場面は増えています。ただし「AI検索が検索エンジンを上回った」と結論づけるのは早計です。ナイル株式会社が2026年8月6日に公表した調査では、外注先の比較検討で使う情報収集手段として「AI検索・AIチャット」64.1%、「検索エンジン」55.0%という結果でした。一方、別の調査で「最初の一手」を聞くとGoogle検索が48%で首位です。設問の違う数字を同じ土俵に置くと、投資判断を誤ります。本記事では複数の調査を突き合わせ、発注される側の企業が今日から確認できることまで落とします。
まず何が発表されたのか
ナイル株式会社の調査(2026年8月6日公表)
対象は、仕事で使うBtoBサービスや外注先の選定に関わった329人。2026年7月上旬の2日間で実施されています。比較検討・選定の情報収集手段としてもっとも多く選ばれたのが「AI検索・AIチャット」の64.1%で、「検索エンジン」は55.0%でした。
さらに踏み込んで重要なのは、AI検索を何に使っているかです。利用目的の最多は「各社のサービス内容・強みを比較する」で80.1%。「候補企業を探す」は50.7%にとどまりました。つまりAI検索は、知らない会社を発掘する道具というより、すでに視界に入っている会社を並べて比べる道具として使われています。出典はECのミカタによる同調査の報道です。
同じ時期に出たもう一つの調査
株式会社Pifteeが2026年6月8日に公表した「BtoB発注先選定におけるAI検索活用の実態調査2026」では、発注担当者の75%が発注先選定で生成AI検索を使った経験があり、22%が「日常的に使っている」と答えています。一方で発注先探しの最初の一手はGoogle検索が48%で首位、生成AI検索は約10%で第4位でした。有効回答は196名、実施は2026年5月下旬から6月上旬にかけてです。調査結果はPifteeのサイトに掲載されています。
この調査を出したPifteeは、AI検索対策そのものを商品にしている事業者です。売り手が自ら実施した調査であること、有効回答が196名で業種別に割ると各区分が数十名規模になることは、読むときの前提として置いてください。
この2つの数字は、並べて足し算してはいけない
64.1%と約10%が同居する理由
片方は「AI検索・AIチャットが情報収集手段の1位で64.1%」、もう片方は「最初の一手としてのAI検索は約10%で4位」。一見矛盾しますが、これは設問が違うだけです。
| 調査 | 聞いていること | 回答形式の性質 | 結果 |
|---|---|---|---|
| ナイル | 比較検討・選定で使う情報収集手段 | 複数回答とみられる(合計が100%を超える) | AI検索64.1% / 検索エンジン55.0% |
| Piftee | 発注先探しの最初の一手 | 単一の起点を1つ選ぶ形式 | Google検索48% / 生成AI検索 約10% |
「検討のどこかで使ったか」と「最初にどこを開いたか」では、当然まったく違う数字が出ます。この2つを並べて「AI検索が検索エンジンを抜いた」と要約するのは、調査の読み違いです。
調査ごとに数字が割れるのは普通のこと
この2つ以外にも、BtoBの購買行動における生成AIの利用率を扱った調査は複数公表されており、報告されている数値には開きがあります。本記事では、公開元の一次情報にあたって設問と母集団を確認できたものだけを扱っています。数字を引用するなら、二次報道の要約ではなく調査主体の公表内容まで遡るのが最低限の手順です。
調査ごとに数字が割れているとき、いちばんまずい読み方は「いちばん大きい数字を採用する」ことです。次にまずいのは「バラバラだから全部信用しない」ことです。やるべきは、どの設問なら自社の判断に使えるかを選ぶことです。
それでも、この一連の調査から確実に言えること
1. 比較の場が、自社サイトの外に移った
ナイル調査でAI検索の利用目的の1位が「各社のサービス内容・強みを比較する」80.1%だったこと、これは設問の作りに関係なく重い事実です。従来、複数社の比較は「各社のサイトを順番に開いて見比べる」行為でした。それがいま、AIが要約した文章の中で先に済まされている可能性があります。
自社サイトに来てもらう前に比較が終わっているなら、サイトのアクセス数だけを見ていても、負けた理由は見えません。
2. 発見はまだGoogleが優位
Piftee調査で「最初の一手」がGoogle検索48%だったことは、既存のSEOを止めてよい理由にはならないことを示しています。AI検索対策を「SEOの代わり」として提案されたら、この点は聞き返す価値があります。役割の切り分けはSEOは終わったのか?AI検索時代に残るSEOにまとめてあります。
3. 使われ方が「探す」から「比べる」に寄っている
候補を探すのが50.7%、比較するのが80.1%という差は、AI検索対策で作るべきコンテンツの種類にそのまま効きます。「うちの業種でおすすめの会社は?」で名前が出ることより、「A社とB社は何が違うのか」に答えられる情報が自社について存在するかどうかが問われます。
発注される側が、今日確認できること
手順1. 自社が比較の土俵に載るか試す
ChatGPT、Gemini、Perplexityなど、手元にあるAIサービスで次の3種類の聞き方を試します。実際に打ち込んで、返ってきた文章を保存してください。
- 「(自社の業種)の会社を選ぶとき、比較すべきポイントは」
- 「(自社の商圏・業種)で(自社が提供するサービス)を頼める会社を教えて」
- 「(自社名)と(競合名)の違いは」
3つ目で自社について何も出てこない、あるいは事実と違う説明が返ってくる場合、比較の土俵に情報が置かれていない状態です。
手順2. 出てきた内容の出どころを追う
AIの回答に引用元が示されるサービスであれば、そのURLを確認します。自社サイトが出ているか、それとも第三者のまとめサイトや口コミサイトだけが出ているか。自社サイト以外が出典になっている場合、自社が説明していない話で比較されているということになります。
手順3. 一度だけの結果で判断しない
生成AIの回答は、同じ質問でも実行するたびに変わります。1回の結果で「うちは出ない」と結論づけるのは早計です。最低でも日を変えて3回、できればアカウントにログインしていない状態でも試して、傾向として出るのか出ないのかを見ます。
手順4. 記録の形式を決めてから始める
試した日付、使ったサービス名とモデル名、質問文、返ってきた回答の要点、引用されていたURL。この5点を記録しておかないと、施策の前後で何が変わったかを比較できません。測定の設計をせずに施策だけ始めると、数か月後に「効いたのか分からない」で終わります。
「比較の土俵に載らない」には3つの層がある
自社について聞いても何も返ってこないとき、原因は1つではありません。層を分けて切り分けると、打ち手が変わります。
層1. そもそも読まれていない
ページがインデックスされていない、robots.txtで止まっている、JavaScriptでしか本文が出ない。この層の問題は、AI検索固有ではなく従来の技術的な問題です。Googleは検索セントラルの案内で、AI機能に出るための追加要件はないとしたうえで、重要なコンテンツがテキストの形で存在することを挙げています。画像の中にだけ書いてある強みは、読み取ってもらえません。
層2. 読まれているが、比較に使える情報が書かれていない
会社概要と「豊富な実績」しか書かれていないサイトは、この層です。比較の材料になるのは、対応範囲、進め方、費用の考え方、向かない条件、担当体制、契約期間といった他社と差が出る項目です。抽象的な強みの表明は、どの会社のサイトにも同じように書かれているため、比較の役に立ちません。
層3. 書かれているが、比較の形式になっていない
情報はあるのに、20ページに散らばっていて突き合わせられない状態です。「料金は料金ページ、対応範囲はサービスページ、進め方はブログ記事」と分かれていると、読み手も要約する側も拾いきれません。1ページの中で条件と範囲が並んでいる構成のほうが、比較には使われやすくなります。
どの層でつまずいているかは、手順1で保存した回答を読めば見当がつきます。まったく出てこないなら層1か層2、出てくるが説明が薄いなら層3です。
Googleの公式見解と、実務でやることのズレ
ここは誤解が多いところです。Googleは検索セントラルのAI features in Google Searchで、AI OverviewsやAI Modeに出るための追加要件はなく、特別な最適化も必要ないと明記しています。さらに、そのために新しい機械可読ファイルやAI向けのテキストファイル、特別な構造化データを作る必要もない、とも書かれています。
要するに、AI検索のためだけの成果物を新設する話ではないということです。それでも実務でやることが残るのは、上の層2と層3が、従来のSEOでも放置されがちだった領域だからです。順位が取れていても、比較に使える書き方になっていないサイトは珍しくありません。この一文が実務上どこまでを免除しているのかは、Googleは「AI Overviewsに特別な最適化は不要」と明記しているで個別に検討しました。
ここで注意したいのは、Googleの見解はGoogleの機能についてのものだという点です。ChatGPTやPerplexityなど他社のサービスが同じ方針で動いている保証はありません。1社の公式見解を、AI検索全体のルールとして扱わないことです。
社内で説明するときの1枚
経営会議や上長への説明では、調査の数字を並べるより、次の3行のほうが通ります。
- 事実: 外注先の比較検討でAI検索を使う担当者が増えている(複数の調査で確認できるが、数字は設問により幅がある)
- 自社の現状: 実際に試した結果を提示する(何を聞いて、何が返ってきたか、引用元はどこか)
- 提案: まず現在地の測定と、比較に使える情報の整理。新規記事の量産はその後
公開調査の数字は「関心を持ってもらう入口」には使えますが、意思決定の根拠にするなら自社で試した結果のほうが強い。他社の平均値より、自社名で聞いた結果のスクリーンショットのほうが、社内は動きます。
比較で負ける典型パターン
パターン1. 条件が書いていないので候補から外れる
対応エリア、対応可能な規模、最低契約期間、対応できない条件。これらが書かれていないと、比較する側は「確認しないと分からない会社」として後回しにします。書いていないことは、比較の場では存在しないのと同じです。
パターン2. 良いことしか書いていないので信用されない
別の調査では、問い合わせ先を選ぶ理由として誠実さを挙げる担当者がもっとも多いという結果が出ています。全項目で優れていると書かれた会社は、比較の材料としてはむしろ扱いにくくなります。この点は企業サイトの8割が「一般論しか書いていない」と言われているで詳しく扱いました。
パターン3. 第三者の情報だけで語られる
自社サイトに情報がないと、まとめサイトや口コミの記述だけで比較されます。そこに載っている料金や対応範囲が実態とずれていた場合、比較の材料はずれたまま使われます。自社について自社が書いていない状態は、他人の要約に判断を委ねている状態です。
やりがちな判断ミス
ミス1. 「AI検索対策」として記事を増やす
比較の場に載るために必要なのは本数ではありません。比較で問われるのは、他社との違いが、検証できる形で書かれているかです。「実績豊富」「高品質」といった形容詞をいくら並べても、比較の材料になりません。
ミス2. 数字を作って埋める
比較されるなら具体的な数字がいる、と考えて、根拠のない実績値を載せる企業があります。これは短期的にも長期的にも損です。景品表示法の観点で問題になり得るうえ、AI検索の側でも出典のない数値は扱いに困ります。出せない数字は書かない、出せる数字は出典と条件を添える。これが最低ラインです。
ミス3. 業者の提案を数字の大きさで選ぶ
「AI検索経由の流入がこれだけ増えます」という提案を受けたら、その数字の出どころを聞いてください。前述のとおり、公開されている調査は設問によって桁が変わります。発注前の見極め方はGEO/AI Mode対策の業者選び 2026にまとめています。
何から着手するかの順番
予算と人手が限られている前提で、優先度はこうなります。
| 優先 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 自社が比較の土俵に載るかを実測する | 現在地が分からないまま施策を選べない |
| 2 | 他社との違いを、検証できる形で書き直す | 比較目的の利用が80.1%を占めるため |
| 3 | 既存記事の出典と数値を点検する | 根拠のない記述は比較の場でも自社サイトでも不利 |
| 4 | Google検索での見え方を維持する | 最初の一手は依然Googleが48%で首位 |
| 5 | 新規記事の量産 | 1〜4が終わっていないと、増やすほど薄まる |
用語の整理から入りたい場合はAI検索時代のSEOとは?AIO・GEO・LLMOの違いを、判断と実装まで外部に任せる選択肢を検討する場合はATKのサービス内容を先に見ておくと、社内の議論が速くなります。
本記事で引用した数字の一覧
調査の数字は、主体・時期・対象・設問の4点が揃って初めて判断に使えます。本記事で触れたものを一覧にします。転記して使う場合は、この条件ごと持っていってください。
| 数字 | 調査主体 | 時期・対象 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| AI検索・AIチャット 64.1% / 検索エンジン 55.0% | ナイル株式会社 | 2026年7月8〜9日・329人 | 複数回答とみられる。比較検討段階の手段を聞いたもの |
| AI検索の利用目的1位「各社を比較する」80.1% | ナイル株式会社 | 同上 | 「候補企業を探す」50.7%との差が重要 |
| 発注担当者の75%が利用経験・22%が日常的 | 株式会社Piftee | 2026年5月22日〜6月5日・196名 | 調査主体はAI検索対策を提供する事業者。nが小さい |
| 最初の一手はGoogle検索48%・生成AI検索 約10% | 株式会社Piftee | 同上 | 起点を1つ選ぶ設問。64.1%とは別の土俵 |
| AI機能に追加要件・特別な最適化は不要 | Google(検索セントラル) | 公式ドキュメント | Googleの機能についての見解。他社サービスは対象外 |
業種によって、当てはまり方は変わる
ここまでの調査はいずれも業種横断の平均です。329人や196名を業種別に割ると、1業種あたりは数十人規模になります。自社の業種の傾向として読むには、母数が足りません。
実感として差が出やすいのは次の軸です。いずれも公開調査で検証された分類ではなく、判断の補助線として使ってください。
- 買い手のIT習熟度: 情報システム部門やマーケティング部門が発注する領域ほど、AI検索が早く入り込みます
- 検討期間の長さ: 検討が数か月に及ぶ商材ほど、途中でAIに整理させる場面が増えます
- 候補の多さ: 候補が数十社ある領域は比較の負荷が高く、要約させる動機が強くなります
- 地域性: 商圏が限定される商材は、そもそも候補が少なく、比較より発見が問題になります
自社がどこに当たるかで、優先すべきが「比較材料の整備」なのか「そもそも見つかること」なのかが変わります。平均値をそのまま自社の計画に置き換えないでください。
よくある質問
Q. AI検索対策をやれば、Google対策はやめてよいですか
いいえ。Piftee調査では発注先探しの最初の一手はGoogle検索が48%で首位です。AI検索は比較段階で効いており、発見段階では検索エンジンが依然として大きい。どちらかではなく、段階ごとに役割が違うと考えるほうが実態に合います。
Q. 64.1%という数字を社内資料に使ってよいですか
使えますが、「ナイル株式会社が2026年7月に329人へ実施した調査で、比較検討時の情報収集手段として選ばれた割合」と条件を添えてください。条件を落として「BtoBの64%がAI検索を使っている」と書くと、別の設問の数字と衝突したときに説明できなくなります。
Q. 自社の業種でAI検索が使われているか、どう調べればよいですか
公開調査は業種横断の平均値なので、自社の業種にそのまま当てはまるとは限りません。確実なのは、実際の商談で「今回どうやって当社を知りましたか」「比較の際に何を使いましたか」を聞き、記録することです。数か月で自社固有の傾向が見えます。
Q. 施策の効果が出るまでの期間は見積もれますか
期間は保証できません。生成AIの回答は同じ質問でも変動し、各サービスの仕様は外部に予告なく変更されます。「◯か月で成果が出ます」という提案を受けた場合は、何を根拠にその期間を出しているのかを確認してください。
まとめ
この記事で押さえておきたいのは3点です。第一に、AI検索が検索エンジンを上回ったという要約は、設問の違いを無視した読み方であり、複数の調査を並べると数字は桁単位で割れます。第二に、それでも「比較がAIの中で先に済まされている」という変化は共通しており、これは自社サイトのアクセス数だけを見ていても検知できません。第三に、対策の入口は記事を増やすことではなく、自社が比較の土俵に載るかを実際に試して記録することです。
まずやるのは、手順1から手順4までの記録です。試した日付、使ったサービス名、質問文、返ってきた内容、引用元のURL。この5つを3か月分ためると、公開調査の平均値よりずっと確度の高い判断材料になります。他社の数字を読み解く時間より、自社名で1回聞いてみる時間のほうが短い。
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